こんにちは、練馬区の税理士須江です!
担当者が頻繁に変わる業界です
お客様が税理士を変更される理由は様々です。
その中でも一番多い理由は税理士さんが高齢だからという理由で、前回はその事に関する記事を書きました。
先日ご相談頂いたお客様も、ここ数年毎年の様に担当者が変わり、経験の浅い若い子ばかりが担当に付くので、いい加減うんざりして税理士の変更を考えているという事でした。
税理士業界の実情
担当者が頻繁に変わると言う事は、お客様にとっては非常に迷惑な話なのですが、税理士業界にいる人間にとっては、珍しい話ではなく日常的に起こっている出来事です。
その様な事を話すとお客様は驚かれますが、これが税理士業界の実情です。
なぜそのような事が起こるかというと様々な要因がありますが、以下の理由が主な理由かと思われます。
①税理士事務所の実務を担っている人は税理士ではなく、税理士資格のない人や現在税理士試験を勉強中の人であることが多い。
②税理士事務所の給与水準は一般的な企業に比べても低い為、人が定着しない。
③税理士事務所の業務は激務でいわゆるブラック事務所と言われる事務所も多いため、人が頻繁に入れ替わる事が多い
④激務で低賃金の環境で税理士試験に合格できない為、途中で試験に専念する為に辞める人や、一般企業に転職する人も多い
ざっと挙げるとこんな所でしょうか。
私が独立する前に勤めていた事務所で私が引き継いだ後任の担当者も、半年後や1年後位には辞めてしまいましたので、お客様は1年間に2回も担当者が変更になった事になります。
税理士業界の実情を知ったうえで税理士を選ぶ
上記の様な税理士事務所の実態に関して、お客様はなかなか知る事が出来ませんので、専門家に依頼しているのだからきちんと決算や申告をして貰えていると思われていますが、実態はそうでもない事も多いです。
特に従業員が多くいる事務所では、職員が頻繁に辞める事も多く、若くて経験の浅い担当者からまた若くて経験の浅い担当者に替わる事もよくあります。
その様な場合にきちんと引き継ぎが出来ていれば良いのですが、殆ど引き継ぎもないままに次の担当者に替わる事もよくあります。
基本的に税理士事務所は一人の担当者が、担当したお客様の業務を全て行うケースが殆どですので、その担当者が退職する際に、きちんとした引き継ぎがされない場合はそのお客様の事をよく知る人間が事務所にいないことになります。
後任の担当者は前の資料を見ながら、作業を進めて行くことになり、非常に時間を浪費しますし、何件も一度に担当を任されることが多い為、1社1社に時間を掛ける事が出来ません。
時間がない中で、締め切りに間に合わせなければいけませんので、当然不明な点が解明できないまま申告をする事もあります。
その様な事が繰り返される中で、徐々に決算書の内容で不明な事項が増えているにもかかわらずそのまま放置されるケースも沢山見てきました。
税理士ではなく誰が担当するかが大事です
上記の様に税理士事務所は担当者が担当したお客様の業務を全て行うケースが多い為、誰が担当になるかで受けられるサービスに大きな差が出ます。
私も初めてこの業界に入った時に、前任の担当者が退職する為その担当者のお客様を殆ど引き継ぎましたが、引き継ぎ期間は2ヶ月もない為、大した引き継ぎもないまま苦労した経験があります。
実務経験の全くない人間が十数社のお客様をいきなり担当して、決算まで全ての業務を行っていた訳ですから、今から考えると当時のお客様には申し訳なかったと思いますが、それが税理士事務所では当たり前の様に行われています。
税理士報酬は担当者の経験年数によって金額を設定している事務所は皆無ですので、お客様は同じ顧問料でも担当者の力量によって受けられるサービスに大きな差が生じてしまいます。
極端な話でいえば、実務経験の殆どない無資格の担当者と実務経験が豊富で税理士資格を持っている人間でも同じ顧問料になるという事です。
まとめ
税理士事務所は沢山ありますので、その中で自社に合う税理士を探すのはなかなか大変かと思います。
顧問料が低ければ当然それなりのサービスになるのは仕方が無いとしても、顧問料が高ければいいサービスを受けられる訳ではないのが、難しい所だと思います。
高い顧問料を払っているにも関わらず、無資格で経験のない人が担当になる事もこの業界では良くある話です。
職員が沢山いる事務所や規模の拡大を目指している事務所の場合には、担当者が変わるという事は避けては通れないですし、担当者を指名する事もなかなか難しいのが実情です。
担当者が変わって欲しくないとお考えの経営者は税理士が一人でやっている事務所や規模の拡大を目指していない事務所を選ぶのも一つの方法だと思います。
税理士事務所サイドの実情を理解した上で、税理士選びの参考にして頂ければと思います。